届かない恋への手紙

手紙① ― まだ、ただのイメージだった頃

ベッドの上から、あなたを初めて見た。
体は動かさずに、
頭の中だけがずっと忙しかった.

気が

た.

あなたは、自信たっぷりで、
全部わかっているみたいな顔をしていた。
少しだけ偉そうで、
少しだけ自分が一番だと思っていそうで.

正直、
苦手になってもおかしくなかった.

でも、不思議とそうならなかった。
嫌じゃなかった。
かわいいと思った。
それ以上に、気になる存在だった。

最初に惹かれたのは、声でも言葉でもない。
あなたの「目」だった。

世界を見下ろすような、
何かを知っているような視線。
どこから来るのかわからないのに、
ちゃんとそこにある自信.

前にも、断片的にあなたを見たことはあった。
短い動画や、編集されたシーンの中で。

だから、あなたがちゃんと現れたとき、
「この人…?」って思った。

そう。
あなただった。
知らないのに、知っている気がする人。

この時は、まだ恋じゃなかった。
興味だった。
期待だった。
少し長く見つめてしまう、その時間。

まだ、あなたが誰なのかは知らなかった。

でも――
知りたい、と思った.


手紙② ― ただのイメージじゃなくなった時

ある瞬間から、
あなたは「画面の中のかっこいい人」じゃなくなった.

大げさなシーンじゃない。
感動させるための出来事でもない。

子どもの頃の話を聞いたときだった.

憧れていた存在が崩れると、
人は一緒に崩れてしまうことがある.

あなたの反応は、
冷たいとは思わなかった。
とても、人間らしいと思った。

関係は強くて、
その支えが壊れたら、
立つ場所がなくなるのも無理はない.

そこから、
少し苦手な部分も見え始めた.

何も大切にしていないみたいな態度。
結果を考えないような振る舞い。
他人の気持ちを後回しにするところ。

それでも、
私は目を離せなかった。

それが残酷さじゃなく、
「生き延びるための形」だとわかったから.

大きな嘘を知ったあとでは、
優しい言葉より、
痛くても本当のほうが誠実に感じることがある.

あなたの皮肉は、
無神経さじゃなかった。
傷つかないための盾だった.

そのとき、
少しだけ自分をあなたに重ねた.

期待しないことで、
もう傷つかないようにすること。
平気なふりをすること。

外から見れば、
小さな嘘に見えるかもしれない.

でも、それだけじゃない。

幸せな世界で生きていた子どもが、
信じていたヒーローに裏切られること.

努力だけじゃ足りない現実を知ること.

それは、
幻想を失うことじゃなくて、
世界を早く知りすぎてしまうこと.

だから、
やっとあなたを理解できた気がした.


手紙③ ― 少し、そばに居るようになった頃

あなたが現れると、
胸が少しだけ、ぎゅっとする.

痛くない。
でも、確かに何かが動く。

同じ場所で、
同じ時間を過ごすようになって、
あなたはもう特別な「通りすがり」じゃなくなった.

会えると、嬉しい。
静かな喜び。

あなたを裁くことが減って、
見ることが増えた.

正直、
まだ苦手なところもある.

他の誰かと近づくとき、
私が入れない距離を感じるとき.

怒りじゃない。
ただ、そこに居られない寂しさ。

それでも、見てしまう.

あなたが本気でプレーした瞬間。
中で何かが、また灯ったみたいだった。

バレーが、
まだあなたの中にあると知って、
少し安心した.

もう、名前をつけようとはしない.

何かわからない。
でも、消えない。

たぶん、
私の居場所はここ.

見て、感じて、
もう少し、留まること。


手紙④ ― もう否定できなくなった時

いつからかは、わからない.

気づいたら、
あなたはどこにでもいた.

スマホの画面にも、
ぼんやりした視線の先にも。
安心したくなると戻る場所にも.

これは、もう「好き」じゃない.

胸に溜め込むと、
苦しくなって、息ができなくなる.

だから書く。
だから言葉にする。

怖い。
こんなふうに心が動くのが。

完璧じゃないのに。
近くにいたら、きっと大変なのに。

それでも、
私はあなたを選んでいる.

所有じゃない。
幻想でもない。

ただ、
一緒に存在を感じること.

画面越しでも。
距離があっても。

それでいい。


手紙⑤ ― 愛が、あたたかい場所になる時

特別じゃなくても、
ちょうどいい場所にあるものは、
人を救う.

この気持ちは、
世界から逃げるためのものじゃない.

私は私のままで、
少しだけ楽になる.

包まれるような、
静かな安心.

それで、十分。


最後の手紙 ― あなたを選ぶ

簡単だからじゃない。
正しいからでもない。

たくさんの物語と、
たくさんの人の中で、
あなたを選ぶ.

代わりじゃない。
逃げでもない。

あなたは、あなた。
だから、好き。

不器用で、
静かで、
少し歪んだ愛.

でも、本物。

画面越しでも。
距離があっても。

私は、あなたを選ぶ。

この不完全な愛し方ごと.

それが、
私の真実。


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